翡翠の若葉亭

パーティ紹介してみる

 
 新入りの従業員は小首を傾げた。

「あのー、もしかしてご家族で冒険者パーティを組んでいらしているんですか?」

「違います」

 水色のリルドラケン――アジュール・プラオスは速攻で答えた。

「そもそもどうしてそう思ったんですか。この組み合わせで家族には見えないでしょう」

 呆れた様子で連れを見つめる。
 それは一般人には理解が出来ない光景だった。

「ゴー君、シュガをやっつけろー」
「ごー」

 ルーンフォークの黒髪少女が命じると同時に、謎のロボットが発進する。

「はん、そんな玩具通じると思うなよ?俺の斧でぶった切ってやる!」

 シュガと呼ばれた赤髪のバンダナ青年は不敵な笑みを浮かべた。
 手には凶悪なハルバード。いや、斧と言い切っていいのか分からないが。

「ゴー君、ゴーレムシールド発動!」
「ごごご」

 バリアーを張っているポーズをしているロボット、いやゴー君。

「ヒサメのアホめ。そんなの効かねーよ。シールドブレイカー!」

「うわぁ、ずるい!ゴー君、耐えてぇ」

 ヒサメの願いに答えるかのように立ちふさがるゴー君。
 そして……。

「やめなさーい!!」

 ヒサメとシュガの頭に鈍い衝撃が走った。

「ロビーで騒がないの。迷惑になるでしょ!」
「ふぁい」「へい」「ごー」

 アジュールのゲンコツをくらい、頭を押さえる二人。

「やっぱり家族にしか見えないです」

「だから違います」

 アジュールは否定するしかなかった。


「え、俺たちが家族に間違われたって?何でだよ」

「そうだよー。まぁ、当然ヒサメがお姉ちゃんだと思っていたはずだけど」

 ヒサメはない胸をはる。

「あ?んなわけないだろ。どっからどうも見ても俺が上ですー」

「じゃあ団子に誓って年齢言ってみてよ。言えないのー?」

「え、いや、てか何故団子に誓うんだよ!どうせならシーン様に誓えよ!」

 シュガは神官戦士であり、シーンという神を信仰している。

「そんな架空のものを信じるより、団子を信じる方がいいと思うよー。ヘルシーでプリティーでヤミーな全てを超える存在。それがお団子!」

「お前の団子自慢は聞き飽きたわ!」

「え、そんなひどい!バチが当たるといいよ!」

 どんどんヒートアップしていくケンカ。
 当然アジュールが黙っているはずもなく、二人は一瞬お星様を見た。

「全く。まぁ確かに手のかかる子供のようには思っているけどね。ほら、仕事行くよ」

「はーい」

 こうして、アジュール一家は今日も冒険に出向くのだった。

 完。

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