翡翠の若葉亭

世界観

 三本の剣によって創られたとされる世界【ラクシア】。
 この世界には大きく分けて二つの種族が世界の覇権を賭け、延々と争いを続けている。

 ひとつは、【第一の剣】に創られたとされる種族、人族。
 分けると、人間、エルフ、ドワーフ、タビット、ルーンフォークといった種族がこれに当たる。
 彼らは魂の穢れを持たず、秩序と平和に好む者達だ。

 もう一方は、【第二の剣】に創られたとされる種族、蛮族(バルバロス)。
 分けると途方もない数の種族が存在しているが、主にドレイク、ノスフェラトゥ、ヴァンパイア、スキュレー、トロール、ゴブリン、グレムリンなどをここでは代表例として挙げておく。
 彼らは魂の穢れを持ち、破壊と混沌を好む者達だ。

 その他には生まれの種族によってどちらかの勢力に傾くことのないイレギュラーな存在として、人族でありながらも魂の穢れを持って生まれてくる種族ナイトメアがいる。
 生まれながらに小さな角が頭に生えており、意のままにもう一つの姿へと[異貌]して変わることができる。
 その姿は肌は青白く、角が鋭く大きくなっているために禍々しく、正しい知識を持たない、冒険者以外の人族からは恐怖を持たれてしまっている。
 数は少ないが、人族だけでなく蛮族からもひどい差別や扱いを受けることがほとんどで、苦しい境遇を持っている者が多く、居場所や振る舞いに悩む者がほとんどのようだ。

 その他にも、人族でありながら黄昏の大陸“レーゼルドーン大陸”から渡ってくる三つ目で灰褐色の肌を持つ種族シャドウ、全身が魔晶石でできている謎の人族フロウライト、個人としての意識を持ち、妖精使いや魔晶石の補助がなくても自力で存在できる妖精の人族フィーなど、数は少ないが珍しい種族は他にも存在している。
 また、蛮族にもナイトメアのような特殊な例があるが、今回は省略させていただく。


 ――そして現在。

 【魔動機文明】と呼ばれる、人族が世界の覇権を握る一歩手前だったとされる時代が突如として終わった、後の新たな時代。

 前時代の終わりは、あまりに唐突で流血が絶えなかった。
 ほとんど駆逐したとされていた蛮族たちが、一斉の反撃【大破局(ディアボリック・トライアンフ)】を引き起こし、文明のほぼ全て――高度な魔法や技術の知識、建造物、住居等を破壊し、さらに北の大陸【レーゼルドーン大陸】を人族の手から奪いとったのである。

 が、だからといって人類が敗北したわけでも、蛮族が世界の覇権を握ったわけでもない。

 二つの種族の争いが再び仕切りされた、再び新たな争いの時を迎えただけだ。


 しかし新たにもう一つ、この時代には二つの種族の争いを傍観していた第三の勢力があった。

 “魔王”率いる軍勢だ。

 どちらの勢力にも加担せず、ただ不気味な沈黙を守り、両者の争いを見守り続ける魔の王。
 誰が“魔王”と呼び始めたのか? なぜ魔王なのか?
 いつから存在しているのか? 衰えることはないのか?
 種族は人族なのか、蛮族なのか? または異界の種族なのか?

 一般に知られていることがあるとすれば、ただ二つだけ。
 【魔王】は、ザルツ地方にある毒の砂漠【漆黒の砂漠】を抜けた先に、城を構えていること。
 【魔王】は、まだ倒されていないこと。


 【大破局】と呼ばれる災厄から三百年が経過した現在、【魔王】は、蛮族の勢いが落ち着いてきたこの時期を狙ってか、侵略を行い、領地とともに勢力を徐々に拡大し続けているのだという。

 そこで、厄介な第三の勢力が巨大な力を持って、再び三百年前のような災厄を繰り返さないために周辺諸国は賞金をかけた。


『“魔王を討伐せし勇者に百億G(ガルド)と、なんでも望むものを一つ与える”』


 という、回答によっては自国を滅ぼしかねない莫大な報酬を以て。

 その触れは人族の勢力下であるテラスティア大陸全土に広まり、数多の冒険者を彼の地に引き寄せた。

 しかし、その触れが広まってから数年間、誰も漆黒の砂漠を抜けて帰ってきた者はいない……。

 それでも富や名声、各々の夢や願い、目的を胸に抱いて、冒険者は魔王城に最も近い町【アルカドの町】を訪れる。


 そしてある時、金髪の妖精使いの少女が冒険者の店【月夜の歌姫】を訪れたことで、その物語は幕を開けた……

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