キミの背中
ぐきり、と足に鈍い痛みが走った。
「うぅ……っ」
リルムは微かな悲鳴を上げると、その場にしゃがみ込む。
今日は待ちに待った妖精学校の遠足の日。
何と、ミルモと同じグループ。
せっかく早く起きて、精一杯オシャレをしてきたのに……。
「ミルモ様たちとはぐれてしまいましたわ~」
察するに、ペータたちとの話に夢中で先に行ってしまったらしい。
どうにか追いつこうとするも、足が痛くて進めない。
すると、いきなり目の前に手を差し出された。
「?」
顔を上げると、よく見知った姿。
「ミルモ様!」
リルムは目を輝かせた。
「おい、オメーあんまり人に心配させるなよ」
「ごめんなさいですわ~」
頭を下げると、差し出された手をとる。
でも、少しふらついてしまう。
「……ちょっと足をくじいてしまったみたいですわ」
「しょーがねぇーなぁ。ホラよ」
ふと、ミルモは背中を向ける。
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?
「ミルモ様?」
「だから早く乗れって!」
ちょっと乱暴な様子のミルモ。
どきどき。どきどき。
リルムは胸の鼓動を抑えながら、背中に抱き付く。
……意外に、がっちりしていて温かい。
「うふふ……こうしていると新婚夫婦そのものですわ~」
「う、うるせー!オメーがどうしても立てねぇっていうからやってるだけだ!」
できれば、ずっとこうしていたい。
そう強く思ったリルムであった。
fine.